SDGsと地方創生、その先にある「競争力」
いま、地域づくりが面白い。
「人口減少」「過疎化」「若者流出」など、マイナスイメージで語られがちな“地方”ですが、実はその土地ならではの文化や資源、人のつながりこそが、持続可能な社会づくりの宝庫であると気づく人が増えています。
本記事では、SDGs(持続可能な開発目標)を軸に、地域がいかに競争力を高め、イノベーションを起こし得るかを紐解きます。そして、食・農・観光・教育といったライフワーク領域を重ね合わせながら、Brightが描く「人・資源・文化を結ぶ地方創生」のヒントをお届けします。
地域循環共生圏という考え方
地方創生とSDGsの接点として、近年注目されているのが「地域循環共生圏(*1)」というコンセプトです。これは、地域のエネルギーや資金、食などを地元で循環させ、自立・分散型の持続可能な社会を目指すモデル。
たとえば、未利用のバイオマス資源をエネルギーとして活用したり、地産地消の農産物を観光資源と結びつけることで、経済・環境・社会すべてにおいてバランスの取れた地域構造を実現できます。
一極集中から“ヒューマンスケール”なネットワーク型社会への転換。これが、ポストコロナ時代の日本が目指すべき新たな国土デザインです。
「価値に変える」地域資源と文化
地方創生SDGsの面白さは、「すでにあるものを、価値に変える」発想にあります。
たとえば石川県小松市では、伝統工芸・九谷焼のノウハウを応用し、汚泥を使った保水性ブロックなどのグリーンインフラを展開。これは伝統を単なる“保存すべき文化”から“使える知的資本”へとシフトさせた好例です(*2)。
また、豊島株式会社による「食品残渣×染色アパレル」(*3)や、パルセイユの「有機農業×スキンケア」(*4)など、地域の未活用資源を新たなビジネスに昇華する動きも活発です。
つまり、地域資源とはモノだけでなく「人」や「文化」「つながり」も含まれる。こうした“無形資本”を再定義することが、持続可能な競争力に直結します。
地域を巻き込むヒト・モノ・コトのエコシステム
地域循環共生圏を実装するうえで重要なのが、「地域資源」と「地域人材」の掛け合わせです。
たとえば、農家や地域の飲食店が連携し、地場野菜や規格外野菜をビュッフェ形式で提供する「グラノ24K」のような事例(*5)は、地域ぐるみの6次産業化を可能にしています。地元で完結しながらも、広く価値を届ける仕組みです。
さらに初期段階では、NPOや社団法人などの非営利団体を起点にすることで、多様な主体を巻き込んだ事業設計がしやすくなります。ここでキーとなるのが「地域の顔役」となるキーマンの存在。専門性よりも、地域との信頼関係が求められるポジションです。
官民連携によるイノベーションの連鎖
内閣府が設置した「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム(*6)」は、まさにこうした地域×企業×行政のコラボレーションを後押しする仕組みです。
注目事例として、以下のような連携があります:
- 岐阜県美濃市 × 十六銀行:古民家再生+金融ノウハウ
- 神奈川県 × ファーストクラス:フードロス×福利厚生
- 粟島浦村 × カルビー:離島資源×大企業のブランド力
これらに共通するのは、「自分たちだけでやらない」こと。パートナーと補完し合うことで、地域課題が“地域以外の資源”と結びつき、次世代のビジネスが生まれていくのです。
子どもたちが地域課題を“自分ごと”に
地方創生SDGsの推進は、大人の仕事だけではありません。未来の担い手となる若者たちが、今の地域をどう受け止め、どう関わるかも大きな鍵になります。
その一例が、SDGsボードゲームの活用です。これは、楽しみながら地域の課題を学び、解決策を提案する力を育てる教育ツール(*7)。
「なんでこのまちは空き家が多いの?」 「地域資源を観光に活かせないかな?」
といった疑問やアイデアをゲームの中で可視化し、「誰かが何とかする」から「私たちで変えていこう」へとマインドが切り替わります。
Brightが目指す「つながりによる可能性の拡張」
Brightでは、地域資源や文化にスポットを当て、飲食・観光・教育などの領域で循環型のビジネスを模索しています。飲食店を通じた「出会いの場」として、人と人、人と文化、都市と地方が「ゆるやかにつながる仕掛け」を展開中です。
私たちが信じるのは、「地域の競争力とは、外に勝つ力ではなく、中から湧き上がる自立の力」。SDGsはその羅針盤です。
おわりに:あなたの“ライフワーク”を地域で育てよう
いま、20代・30代の若いビジネスパーソンが「地域で何かやってみたい」と声をあげる時代になりました。
地元に帰るもよし、関係人口として関わるもよし。副業やリモートワークの選択肢が広がるなか、「都市に住み、地方に関わる」ことはもっと自由になっています。
SDGsは、地域を“課題の場”ではなく、“可能性の場”に変えてくれる視点です。そしてそれは、きっとあなたの人生にも、思わぬライフワークを運んでくれるはずです。
*1 環境省ローカルSDGs -地域循環共生圏-
https://chiikijunkan.env.go.jp/
*2 小松マテーレ株式会社「超微多孔性発泡セラミックス『グリーンビズ』」
https://chiikijunkan.env.go.jp/assets/pdf/tsukuru/seminar/2020/symposium_4-jirei-02.pdf
*3 豊島株式会社「食品残渣×染色アパレル」
https://www.toyoshima.co.jp/news/detail/369
*4 パルセイユ株式会社「有機農業×スキンケア」
https://palseylle.co.jp/brand/palseylle/
*5 グラノ24K株式会社「地域全体での6次産業化を推進」
https://grano24k.jp/
*6 地方創生SDGs官民連携プラットフォーム
https://future-city.go.jp/platform/
*7 SDGsボードゲーム
https://sustainable-world-boardgame.com/
名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。


















