観光だけに頼らない!地域産業の多様化がもたらす持続可能な未来― インバウンドの先にある「地域の稼ぐ力」とは ―

観光が止まったとき、地域は何を失ったのか

2020年のコロナ禍は、日本の地域経済を改めて見直すタイミングとなりました。
インバウンド需要に沸いていた観光地が、一瞬で静まり返った光景を覚えている方も多いのではないでしょうか。
観光は、地域にお金と人を呼び込む強力なエンジンです。
しかし同時に、「観光だけ」に依存する構造は、外部環境の変化に極めて脆弱であることも露呈しました。
これは観光を否定する話ではありません。
観光“だけ”に頼らない地域経済をどうつくるか――それが、これからのサステナビリティの核心です。

観光依存が抱える3つのリスク

観光一本足の地域経済には、主に次のようなリスクがあります。

  1. 外部要因に左右されやすい
    感染症、国際情勢、為替変動。地域ではコントロールできない要因で需要が激減します。
  2. 雇用が不安定になりやすい
    季節雇用・非正規雇用が多く、若者が長期的なキャリアを描きにくい。
  3. 地域の暮らしが疲弊する
    オーバーツーリズムによる混雑、地価上昇、住民の疎外感。
    「住みにくい観光地」は、長続きしません。

だからこそ今、求められているのが地域産業の多様化です。

キーワードは「地域循環」と「複数の稼ぐ軸」

注目したい考え方が、環境省が提唱する「地域循環共生圏(*1)」です。

これは、

  • エネルギー
  • 食・農
  • 産業
  • 人のつながり

を地域の中で循環させることで、持続可能な経済をつくるという発想。
地域で稼いだお金が、電気代や原材料費として外へ流れ続ける「漏れバケツ構造」から抜け出し、
地域の中で回る経済をつくることがポイントです。

多様化の柱①:自然エネルギーという「地域の基礎収入」

太陽光、風力、バイオマス、地熱。
再生可能エネルギーは、地域にとって「動かない資産」です。

例えば、

  • 地域新電力の設立
  • 農地×太陽光のソーラーシェアリング
  • 温泉地での地熱・排熱利用

これらは脱炭素だけでなく、
安定収益・雇用創出・地域ブランド強化につながります。
観光が落ち込んでも、
エネルギーは「地域を支えるベース収入」として機能します。

多様化の柱②:農業を「稼げる産業」に変える6次産業化

農業は、地域の土台です。
しかし原料供給だけでは価格決定権を持てません。
そこで重要なのが6次産業化(*2)。

  • 生産 × 加工 × 販売
  • 規格外品の価値化
  • 体験・ストーリーの付加

農産物は「モノ」から「体験」へ。
農業は、雇用・教育・観光と結びつく産業へ進化します。

多様化の柱③:コミュニティビジネスという“接着剤”

産業をつなぎ、循環を生むのがコミュニティです。飲食店、農家、移住者、企業、子ども。
立場の違う人たちが交わる場から、新しいビジネスは生まれます。

株式会社Brightは、

  • 飲食
  • 農業
  • 観光
  • コミュニティ

を掛け合わせ、
まだまだ入口に入ったばかりですが、「ライフワークとしての地域ビジネス」を実践し始めています。
稼ぐことと、地域を良くすること。
この二つは、対立しません。

観光は「入り口」、ゴールは「関係人口」

これからの観光は、
「来て、消費して、帰る」だけでは終わりません。

  • ファンとして関わり続ける
  • 商品を継続購入する
  • 応援者・担い手になる

そんな関係人口(*3)を増やすことが、
観光の価値を何倍にも広げます。

結論:地域の未来は「多様性」で強くなる

観光は、これからも大切な産業です。
でも、それだけに頼らない。

  • エネルギー
  • 食と農
  • デジタル
  • コミュニティ

複数のエンジンを持つ地域は、危機に強く、しなやかです。
地域産業の多様化は、
「誰かのため」だけでなく、
自分自身のライフワークをつくる選択肢でもあります。
今こそ、観光のその先へ。
地域の可能性は、まだまだ眠っています。

*1 環境省ローカルSDGs -地域循環共生圏-(環境省)
https://chiikijunkan.env.go.jp/

*2 農林漁業の6次産業化(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/6jika/index.html

*3 地域への新しい入り口『二地域居住・関係人口』ポータルサイト(総務省)
https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html

名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。

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