子ども食堂の現状と課題
ここ数年、日本各地で子ども食堂の数が急増しています。2024年度には1万箇所を超え、公立中学校数を上回りました。地域のボランティア団体や企業、NPOが中心となり、全国に広がる子ども食堂。その背景には、日本社会が抱える「相対的貧困」という深刻な課題があります。
相対的貧困とは?
相対的貧困とは、絶対的に生活が困難という意味ではなく、社会の平均水準と比較して、所得が著しく低い状態を指します。日本では、等価可処分所得の中央値の半分を下回る状態が「相対的貧困」と定義されています。厚生労働省の2021年調査によると、17歳以下の子どもの相対的貧困率は11.5%。これは約9人に1人が貧困状態にあることを示しており、特にひとり親家庭では44.5%という高い水準です。
貧困率低下の裏に潜む問題
一見すると、2012年の16.1%から11.5%に低下したことで、貧困が解消されつつあるように見えます。しかしながら、ひとり親世帯の貧困率は、全体的な子どもの貧困率ほど改善していません。2018年から2021年の間に、ふたり親世帯の貧困率は11.2%から8.6%に減少しましたが、ひとり親世帯の貧困率は48.3%から44.5%への減 少にとどまっています。
支援を必要とする家庭の中には、ひとり親家庭や非正規雇用世帯が多く、依然として支援ニーズが高い状況が続いています。特に、物価高や雇用の不安定さが家計に与える影響は深刻であり、子ども食堂の存在はこうした家庭にとって不可欠な支えとなっているのです。
参照)厚生労働省:2021年 国民生活基礎調査の概況▶結果の概要▶II 各種世帯の所得等の状況
子ども食堂の多様な役割
子ども食堂は単に食事を提供するだけでなく、地域の安全な居場所として機能しています。温かい食事を食べながら、地域の大人と交流できる場は、子どもたちにとって大きな安心感を与えます。特に共働き家庭やひとり親家庭では、夕食を一緒に囲める環境が整っていないケースが多く、食堂での食事は「孤食」を防ぐ貴重な機会です。
また、学習支援やフードバンクとの連携、食育活動など、多様なプログラムを実施している食堂もあります。これらの活動が地域に根ざし、地域社会全体を巻き込んだ支援モデルとなっている点が、子ども食堂の魅力であり、持続可能性を支える要素でもあります。
子ども食堂の運営における課題
ただし、そんな子ども食堂の運営にも、課題が山積みです。
まず、資金不足は運営継続の最大の障壁であり、食材費や会場費、光熱費などの多岐にわたる費用が、寄付金や助成金に依存しているため不安定です。特に近年の物価高騰で食材費が増加し、負担が一層増しています。人材不足も深刻で、多くの子ども食堂はボランティアの善意に支えられていますが、確保が難しく、負担が一部に集中しがちです。
さらに、開催場所の確保も課題で、利用料や設備面で制約が多く、長期的に利用できる安全な場所が必要とされています。
子ども食堂支援の新たなカタチ
企業として子ども食堂を直接運営するには、現実的なハードルが高いのが実情です。資金や人員の面からも、専業で取り組むにはハードルが高すぎます。しかし、アジパンダ食堂の取り組みが示すように、事業活動を通じて間接的に支援する仕組みは、私たち飲食店を運営する企業でも持続的に支援が可能です。
アジパンダ食堂とは
「アジパンダ食堂」は、子ども食堂への支援を通じて、食品ロス削減と地域コミュニティの活性化を同時に実現しようと、味の素グループが立ち上げました。次のような仕組みで子ども食堂を支援しています。
・味の素グループで発生するフードロス対象商品を提携先に無償で提供。
・提携先は、無償提供された商品を地域の生活者に販売。
・商品を販売して得た利益で、地域の子ども食堂運営を応援。
これによって、飲食店は持続可能な形で子供食堂へ支援でき、地域住民は商品を購入することが子ども食堂支援に繋がります。味の素グループは食品ロス削減にも貢献でき、関わる方々全員が幸せになる仕組みとなっています。
持続しやすい貢献モデル
企業が支援活動を続けるためには、無理なく持続可能であることが重要です。アジパンダ食堂のように、活動そのものが社会貢献につながる形であれば、企業としても支援を続けやすくなります。Brightとしても、地元の食材や環境に配慮した商品を取り入れ、顧客にその価値を理解してもらうことで、無理のない形での支援を実現したいと考えています。
まとめ
持続的に子ども食堂を支えるためには、地域社会全体で支援を拡充していく必要があります。私たち一人一人も、このような活動に注目し、できることから参加していくことで、より良い社会づくりに貢献できるのではないでしょうか。
Brightも今後、「アジパンダ食堂」との連携を機に、「持続可能な食材調達」と「地域連携」を強化し、子ども食堂の支援や社会課題の解消に貢献してまいります。食を通じた社会課題解決の輪を、一緒に広げていきましょう。

株式会社Bright広報部として、私たちは地域活性やSDGsをテーマに、持続可能な社会の実現を目指したブログを執筆しています。飲食や農業などの分野での実践や、現場経験を活かし、企業や地域の取り組みをわかりやすく発信。