はじめに
「サステナビリティ」という言葉は、ここ数年で耳にする機会がぐっと増えましたね。でも、それが私たちの日常やキャリアにどう影響するかを深く考えたことがある人はまだ少ないかもしれません。実は、これからの働き方や生き方を考える上で、「サステナビリティ・リテラシー」は欠かせないものになりつつあります。これは単なる知識の習得ではなく、未来を見据えて今を生きるための重要なものです。
特に20代後半のビジネスパーソンにとって、このリテラシーを身に付けることは、キャリアに大きな影響を与えます。サステナビリティ・リテラシーは、環境問題や社会的課題に対する理解を深めるだけでなく、自分自身がどのようにその解決に貢献できるかを考え、行動に移すための力となります。
この記事では、なぜ今サステナビリティ・リテラシーが必要なのか、その理由をシンプルに説明し、今後のシリーズで何を学べるかを紹介していきます。SDGs(持続可能な開発目標)を軸に、これからの未来に向けて自分にできることを少しずつ取り入れるヒントをお届けします。
SDGsとサステナビリティが求められる背景
まず、サステナビリティがなぜ今こんなに重要視されているのか、少し考えてみましょう。私たちが直面している気候変動や資源の枯渇、社会的な不平等の問題は、年々深刻さを増しています。そんな中、SDGsが国連で掲げられ、2030年までに解決すべき目標として世界中で注目されています。
SDGsには、貧困や飢餓の解消、質の高い教育、気候変動への対策など、全部で17の目標があり、これらが私たちの生活やビジネスに直接関わってきます。特に企業では、CSR(企業の社会的責任)やESG(環境・社会・ガバナンス)といったキーワードが重要視され、企業活動を通じて社会に貢献することが求められています。
大企業だけでなく、中小企業やスタートアップも、このSDGsをビジネスモデルに取り入れることで、持続可能な成長を目指す動きが広がっています。これからのキャリアを考える上で、この流れに乗り遅れないためにも、サステナビリティの視点を持つことがとても大切です。
サステナビリティ・リテラシーとは何か?
国連は、サステナビリティ・リテラシーを「持続可能な未来を築くことに深くコミットし、そのために十分な情報に基づいた効果的な意思決定を支援するための知識、スキル、考え方」と定義しています。
少し難しく感じるかもしれませんが、これは決して専門家だけが必要とする知識ではありません。むしろ、私たち一人ひとりが、未来を見据えて「今」どのような選択をするかを考えるための力です。
サステナビリティ・リテラシーの3つのポイント
1. 長期的な視点を持つこと
今の利益や快適さだけを追い求めるのではなく、未来の世代や地球環境を考慮した決断をする力です。これにより、自分自身の行動が、未来にどんな影響を与えるかをしっかり意識できるようになります。
2. 自然との共生を意識すること
人間は自然の一部であり、私たちが生きる地球は限られた資源で成り立っています。そのため、私たちが選ぶライフスタイルやビジネスの決断が、自然環境とどう調和するかを意識することが求められます。
3. 多様な価値観を理解し、共に生きること
何事にも、ただ一つの解決策ではなく、多様なアプローチが存在します。他者の価値観を理解し、協力して共通の目標に向かう力が求められます。これにより、対立を超えてより大きな成果を生み出すことが可能です。
これらの要素を意識することで、私たちは日常の選択や仕事での意思決定を、より持続可能な未来に向けたものに変えていくことができると考えています。ただし、ITリテラシーのように必ずしも定量化されたものではないため、すぐに全てを理解するのは簡単ではありません。今後の記事を通して、少しでも理解を深め、それぞれの行動に移していただくきっかけになればと思います。
今後のシリーズ記事で何を学べるか?
このシリーズでは、サステナビリティ・リテラシーを段階的に身に付けるための道筋を提供していきます。基礎編・応用編・実践編の3部構成として、SDGsの基本的な知識から始まり、実際にどうビジネスや日常生活に活かしていくか、実践的な内容も含めてお伝えしていきます。以下、各記事で学べる内容を簡単に紹介します。
基礎編(一般教養レベル)
1. SDGsの基礎知識 ~私たちの未来を形作る17の目標~
SDGsの歴史や背景、17の目標についてわかりやすく解説し、どの目標が私たちにどんな影響を与えるのかを紹介します。
2. SDGsの本質を掘り下げる ~社会から考える持続可能な未来~
SDGsは単なる理想ではなく、現実の社会問題にどう対応するかのフレームワークです。この記事では、社会起点での考え方を通じて、自分自身の目標設定にも役立てる方法を考えます。
応用編(サステナビリティ人材レベル)
3. CSRとCSVの違いを知る ~価値を生み出す企業を探そう~
CSR(企業の社会的責任)とCSV(共有価値の創造)の違いを理解し、企業がどのように社会価値と利益を両立させているかを探ります。
4. 六方よしで未来をデザイン ~今注目すべきトレンドとは?~
近江商人の経営哲学である「三方よし」を現代風にアレンジした「六方よし」という概念を元に、近年のサステナビリティトレンドを読み解き、私たちが目指すべき方向性を考えます。
5. サステナビリティ経営を実践する ~事業性と社会性の両立を目指して~
企業がどのように事業の成長と社会的責任を両立させているのか、具体的なフレームワークや事例を紹介し、実際に自分のキャリアにどう活かせるかを考えます。
実践編(実践レベル)
6. SDGs視点でニュースを読み解く ~今日から始める持続可能な行動~
日々のニュースをSDGsの視点からどう読み解き、どんな行動が取れるかを具体的に解説します。
7. ビジネスの現場でSDGsを生かす方法 ~小さな行動が大きな変化を生む~
ビジネスの現場で取り入れられるSDGsの具体的なアイデアを紹介し、小さな行動が大きな変化を生むことを強調します。
8. エシカルな消費と経済 ~日常から変える未来への第一歩~
日常生活で持続可能な選択をするための方法や、その選択が経済にどのように影響を与えるかを解説します。
9. サステナブルなライフスタイル ~仕事とプライベートの両立を目指して~
仕事とプライベートの両方で持続可能なライフスタイルを実践するための具体的なステップを紹介します。
10. 未来のビジネスを支えるプロジェクト事例集 ~持続可能な成功例から学ぶ~
SDGsに基づいた成功事例を紹介し、そこから学べるポイントを解説します。
総括
11. サステナビリティ・リテラシーを高める ~キャリアと社会の未来を見据えて~
シリーズの総括として、サステナビリティ・リテラシーが皆さんのキャリアや未来の社会にどう活かされるかをまとめます。
まとめ
サステナビリティ・リテラシーは、未来に向けて今すぐ身に付けておきたいものと言えます。この記事を通じて、その重要性に気付き、次に何をすべきかのヒントを得ていただけたのであれば幸いです。これからのシリーズ記事で、さらに深くサステナビリティについて学び、日常生活やキャリアに活かす方法を一緒に探っていきましょう。
名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。