SDGsと私の歩み:未来をつなぐ最初の一歩

はじめまして。加藤直樹と申します。私は現在、株式会社Brightの共同経営者の一人として、SDGs(持続可能な開発目標)やサステナビリティを軸に、経営者や個人の皆さんをサポートする活動をしています。この連載コラムを通じて、皆さんと一緒にSDGsやサステナビリティについて考え、学びを深めていきたいと思います。これまでのキャリアを通じて、私自身、環境問題や社会的課題に関わってきましたが、皆さんにとってSDGsはどんなイメージをお持ちでしょうか?

「地球規模の問題だから自分には関係ない」と感じている方もいるかもしれません。でも実は、SDGsは私たちの日常生活の中に深く関わっているテーマで、今すぐにでも始められる小さな行動が未来を変える大きな力になるのです。このコラムが、SDGsをもっと身近に感じ、行動に移すきっかけになれば嬉しいです。

なぜSDGsを大切にするのか

私がSDGsに本気で取り組むようになったのは、純粋に「誰かのために役立ちたい」という気持ちからでした。大学院を卒業して最初に電機メーカーで営業をしていた頃、毎日決まった業務をこなし、成果を出すことが求められる仕事でした。営業という仕事自体には充実感を感じていたものの、どこか自分の心にぽっかり穴が空いているような感覚があったんです。「この仕事が社会や環境にどんな影響を与えているのか?」と自問自答するようになりました。

その答えを探し求めた結果、私は環境問題に強く惹かれるようになりました。電機メーカーを退職し、次に選んだのは、低炭素社会を推進するコンサルティングファーム。ここで私は、企業と途上国の政府をつなぎ、持続可能なビジネスを支援するプロジェクトに携わりました。たとえば、経済格差を縮めるためのBOPビジネス(ベース・オブ・ピラミッド、低所得層を対象としたビジネスモデル)や、環境に優しい技術を導入する取り組みなどです。

この仕事を通じて、私は地球規模の問題に真正面から向き合うことになり、その大きさと同時に、自分たち一人ひとりの行動が持つ力の大きさに気づかされました。しかし、実際にこれらの課題に取り組む中で、多くの障害や困難もありました。現地の人々との文化や言葉の違い、企業の利益と持続可能性のバランスを取る難しさ、そして、短期的な利益を優先しがちなビジネスの世界で、長期的な視野を持つことの重要性を感じることもありました。

それでも、この経験を通して、私はSDGsがただの「理想論」ではなく、実現可能な未来のための指針であることを強く確信しました。企業も、私たち一人ひとりも、少しずつでも行動を変えていくことで、確実に持続可能な未来を築くことができるのだという実感が生まれました。

キャリアの転機とSDGsとの再会

私のキャリアは一見すると一貫性がないように見えるかもしれませんが、実はすべてがSDGsという大きな軸でつながっています。

コンサルティングファームでの仕事を通じて、私は国際的な視野を持ち、環境と経済のバランスを考える力を養いましたが、その後、インバウンドビジネスに興味を持ち、民泊事業に転職しました。日本の観光業を支えるという役割に魅力を感じ、日本文化を世界に発信したいという思いで新たなチャレンジを始めました。民泊は、ただの宿泊サービスにとどまらず、地域の魅力を伝え、地域社会とのつながりを深める手段だと考えていたからです。

しかし、皆さんもご存じの通り、コロナ禍が私たちの日常を一変させました。観光業は特に大きな打撃を受け、私も民泊事業を続けることができなくなりました。正直なところ、この時期はとても苦しい時期でしたが、それでも私はこの経験を無駄にしないと決めました。ピンチをチャンスに変えるために、再びSDGsに立ち返ることにしたのです。

SDGsを通じた新たな挑戦

そんな中、ある一般社団法人からの声がけで、SDGsに関するボードゲームを使った企業研修のファシリテーターを務める機会を得ました。このボードゲームは、企業がSDGsを楽しく学びながら、実際のビジネスにどう活かすかを考えることができる優れたツールです。ゲームの中で繰り広げられるシナリオは、現実の企業活動に非常に近く、参加者同士がアイデアを出し合いながら解決策を見つける過程は、とても刺激的です。

SDGsは単に「知識として学ぶもの」ではなく、体験を通じて初めて「自分ごと」として感じられるものだと確信しました。この研修を通じて、多くの企業がSDGsをビジネスの一部として取り入れるきっかけを作ることができ、私自身も大きなやりがいを感じています。

SDGsと経営のつながり

現在、私は中小企業向けにSDGs・サステナビリティを軸としたコンサルティング事業を営む会社を経営する一方で、飲食事業を中心としたライフワーク創造企業の株式会社Brightでサステナビリティ戦略推進を担当しています。この両方の仕事を通じて、企業が持続可能な未来に向けてどのように進むべきか、日々考えています。

多くの人は「SDGsは大企業が取り組むもの」と思いがちですが、実際には中小企業こそが大きな役割を果たすことができます。特に地域に根ざした企業では、地元の人々とのつながりが強く、地域の課題に取り組むことで、SDGsを活用してビジネスの成長に結びつけるチャンスが大きいのです。

SDGsの導入が、単なる社会貢献活動ではなく、企業の持続可能な成長に直結することを伝えたいと思っています。SDGsの目標は、「いいことをする」ための指針というだけではなく、企業の成長をサポートするためのフレームワークでもあります。例えば、環境に配慮した事業運営は、長期的に見ればコスト削減や顧客満足度の向上につながります。また、社会的な課題に取り組むことで、新たな市場を開拓するチャンスも生まれます。

共創の時代へ

これからの時代、私が目指しているのは「共創」です。これまでのビジネスの世界では、競争が重視され、他者よりも優位に立つことが成功の鍵とされてきました。しかし、これからは違います。私たちは、個人も企業も、お互いに協力し合い、共に成長していく時代に突入しています。

特にSDGsのような大きな目標を達成するためには、一人ひとりの力だけでは限界があります。企業や個人が手を取り合い、世代を超えた連携や共創が必要です。私が行っているSDGs研修でも、参加者同士がアイデアを出し合い、共に成長する場を提供しています。こうした場が、これからの社会を変えるための一歩になると信じています。

また、私は「世代を超えた共創」を特に大切にしています。例えば、若い世代は柔軟な発想力を持ち、これまでの常識にとらわれない新しいアイデアを生み出します。一方で、経験豊富な世代は、実践に基づいた知識やスキルを提供することができます。こうした異なる世代が力を合わせることで、持続可能な未来に向けた大きな力が生まれるのです。

未来に向けて

SDGsの目標年である2030年まで、私たちにはまだ時間がありますが、それはゴールではなく、新たなスタート地点です。SDGsを達成することは重要ですが、それ以上に私たち一人ひとりが、持続可能な未来に向けて行動し続けることが大切です。

これからも、私はSDGsを通じて多くの企業や個人が「自分ごと」として感じられるような活動を続けていきます。SDGsは、私たちが進むべき道を照らす「コンパス」のような存在です。私たちはこのコンパスを手に、未来へ向けて一歩一歩確実に進んでいけるはずです。

これからの連載では、SDGsやサステナビリティに関する本質や事例、具体的な取り組みを紹介し、皆さんと一緒に学び、成長していきたいと思います。ぜひ、今後もこのコラムを通じて、一緒に考え、行動していければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします!

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