はじめに
SDGs(持続可能な開発目標)は、私たちが持続可能な未来を築くための共通目標です。これまで、SDGsは社会や環境に焦点を当てた目標が多く取り上げられてきましたが、経済問題も重要な要素の一つです。SDGsの17目標のうち、経済に関連する目標は、特にビジネスパーソンにとって関心が高いテーマです。
この記事では、SDGsの中でも経済問題に関する目標8, 9, 10, 12を取り上げ、これらが私たちの生活やキャリアにどのように関わっているのかを解説します。若い世代のビジネスパーソンがこれらの目標を理解することで、職場や日常生活で持続可能な行動を取り入れるきっかけをつくれるでしょう。
目標8. 働きがいも経済成長も
「働きがいも経済成長も」は、すべての人が働きがいのある仕事に就き、経済成長に寄与することを目指しています。この目標では、失業率の改善、若者の雇用機会の創出、安全で公平な労働環境の確保など、労働に関する重要な課題が含まれます。
現代のビジネスパーソンにとって、「働きがい」というテーマはとても重要です。単に経済成長を追い求めるだけでなく、個々の従業員が働く意義を感じ、健康的な職場環境で仕事を続けられることが、企業の成功にもつながります。また、労働時間の見直しや、職場での多様な働き方の推進も、この目標の達成に向けた重要な取り組みです。
私たち個人でも、働き方に対する意識を変え、柔軟な働き方を求めたり、職場環境の改善を提案することが可能です。若い世代の声が、今後の企業の労働環境をより持続可能なものに変えていくでしょう。
目標9. 産業と技術革新の基盤を作ろう
「産業と技術革新の基盤を作ろう」という目標は、持続可能な産業基盤の構築や技術革新を促進し、インフラの整備を目指しています。技術革新は、経済成長や社会の発展に不可欠な要素であり、新たなビジネスモデルやサービスの創出に大きな影響を与えます。
テクノロジーが急速に発展している現代において、技術革新をどのように活用するかは、個々のキャリアや企業の成長に直結する問題です。スタートアップ企業やデジタルビジネスに従事する若手ビジネスパーソンにとって、この目標は非常に身近なものです。持続可能な技術を用いて社会課題を解決するビジネスを生み出すことが、次の経済成長を牽引するカギとなります。
私たち一人ひとりが、新しい技術やイノベーションを積極的に学び、ビジネスの現場で活用することが、この目標の達成につながります。また、インフラやテクノロジーを通じて地域社会の持続可能性を高める取り組みも、重要なテーマです。
目標10. 人や国の不平等をなくそう
「人や国の不平等をなくそう」という目標は、国内外での格差を是正し、すべての人が平等に経済的な機会を得られる社会を目指しています。経済格差は、国レベルだけでなく、企業や職場でも見られる問題です。例えば、性別や人種、地域による賃金格差や昇進機会の不均衡は、現代社会でも大きな課題となっています。
この目標を達成するためには、まず私たちが不平等に対する意識を高めることが重要です。職場におけるジェンダー格差や、少数派に対する差別を減らすための取り組みを提案し、実行に移すことが求められます。また、国際的なビジネスを展開する企業は、発展途上国での公平な取引や雇用機会の提供を進めることが、不平等を減らすための有効な手段となります。
私たち一人ひとりが意識的に平等な機会を尊重し、他者の多様性を受け入れる姿勢を持つことで、社会全体が平等に近づいていくでしょう。
目標12. つくる責任 つかう責任
「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な消費と生産のパターンを確立し、環境に配慮した資源の使用を推進することを目指しています。生産過程での廃棄物や汚染の削減、消費者としての責任ある購買行動がこの目標の中心です。
消費社会において、私たちは日々多くの商品やサービスを選び、使用していますが、これらがどのように生産され、消費されるのかを考えることは、持続可能な未来に向けた重要な一歩です。たとえば、環境に配慮した製品を選んだり、リサイクルを積極的に行うことが、私たちが日常的にできる行動です。
企業においても、持続可能なサプライチェーンの確立や、エシカルな製品開発、廃棄物の削減といった取り組みが、目標12の達成に向けて重要な役割を果たします。これらのサステナビリティに配慮した製品やサービスを積極的に支持し、職場でも環境に優しい選択を提案することが大切です。
まとめ
SDGsの経済問題に関する目標8, 9, 10, 12は、私たちの日常生活やキャリアに大きな影響を与えています。これらの目標は、持続可能な経済成長や技術革新、不平等の是正、そして責任ある生産と消費を実現するための指針となっています。職場での取り組みや日常生活の中で、これらの目標に貢献できる行動を一つでも多く取り入れていくことで、私たちは持続可能な社会の実現に近づくことができます。
経済成長と持続可能な未来は、決して相反するものではありません。働きがいのある仕事や技術革新の推進、不平等の解消、そして環境に優しい消費行動を進めることで、経済活動を持続可能なものにしていくことが可能です。これからの社会でSDGsがさらに重要な役割を果たしていく中で、私たち一人ひとりが意識的な行動を取ることが求められています。
次回は、さらに他のテーマに関連するSDGsを掘り下げ、持続可能な未来の実現に向けた具体的な取り組みを紹介していきます。
名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。