はじめに
SDGs(持続可能な開発目標)は、世界中で議論される持続可能な未来を築くための共通目標として広がっています。2030年までに達成を目指す17の目標は、環境、経済、社会など、幅広い分野にわたっており、私たちの日常生活やキャリアにも密接に関わっています。
本記事では、SDGsのうち「社会問題」に関連する7つの目標(目標1,2,3,4,5,7,11,16)を解説し、それぞれが私たちの生活にどのように影響を与えるかを日常目線でわかりやすく説明します。この知識を得ることで、SDGsに関する会話や職場での取り組みをスムーズに進められるようになります。
1. 貧困をなくそう
最初の目標「貧困をなくそう」は、世界中で極度の貧困を撲滅し、すべての人が基本的な生活を送れる社会を目指すものです。これは、発展途上国だけでなく、先進国でも重要な課題です。たとえば、日本でも生活困窮者や低賃金労働者が存在し、社会の安全網が不十分な場合もあります。
私たち一人ひとりが貧困を減らすためにできることとして、例えばフェアトレード製品を購入したり、寄付を行うことが挙げられます。職場においても、労働環境の改善や公正な賃金制度の導入を支援することで、貧困の撲滅に寄与することができます。
2. 飢餓をゼロに
「飢餓をゼロに」は、すべての人が十分な食糧を手に入れ、飢餓の問題をなくすことを目指す目標です。世界的には、飢餓に苦しむ人々が多く存在しますが、同時に食品ロスの問題も深刻です。実際、廃棄される食品の量は、世界の飢餓を解消できるほどの量に相当します。
私たちが日常生活でできることは、食品ロスを減らすために適切な量を購入したり、食材を無駄にしないことです。職場や飲食業界でも、フードバンクやリサイクル活動に参加することで、飢餓をなくすための取り組みをサポートできます。
3. すべての人に健康と福祉を
目標3「すべての人に健康と福祉を」は、世界中の人々が健康的な生活を送り、福祉を享受できることを目指しています。この目標は、特に医療サービスの提供、予防接種、母子保健の向上などを含みますが、職場でも重要なテーマです。
職場においては、従業員の健康を守るために、メンタルヘルスのサポートや福利厚生の充実が必要です。現代のビジネスパーソンにとって、心身の健康を維持し、バランスの取れた働き方をすることは、キャリアの成功にも直結します。また、私たち一人ひとりが日々の生活で健康的な習慣を取り入れることも、この目標の達成に貢献する重要な行動です。
4. 質の高い教育をみんなに
「質の高い教育をみんなに」という目標は、すべての人が平等に質の高い教育を受ける権利を保障することを目指しています。教育は、社会の発展と個人の成長に不可欠な要素であり、キャリア形成にも大きく関わっています。
若手ビジネスパーソンにとって、教育は生涯を通じた自己成長の手段でもあります。職場でも、スキルアップやキャリア開発の機会を積極的に提供することで、組織全体の競争力が向上します。また、ジェンダー平等や経済格差の是正にもつながるため、すべての人に教育の機会を提供することが、持続可能な社会の実現に寄与します。
5. ジェンダー平等を実現しよう
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、社会全体で男女平等を達成し、女性や女児に対するあらゆる差別をなくすことを目指します。職場においても、ジェンダー平等は重要な課題であり、性別にかかわらずすべての人が平等にキャリアを積むことができる環境づくりが求められています。
特に、リーダーシップのポジションにおいて女性の参画を促進することや、育児や介護のための柔軟な働き方を導入することが、ジェンダー平等に向けた具体的なアクションです。若い世代が中心となって、ジェンダーバイアスをなくし、すべての人がその能力を発揮できる社会を築くことが期待されています。
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、持続可能で近代的なエネルギーをすべての人が手に入れられることを目指しています。現代社会において、エネルギーは生活やビジネスの基盤となる重要な資源です。
私たちの日常生活でも、再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率の向上を意識することが、この目標の達成に寄与します。たとえば、家や職場での電力消費を見直し、省エネ製品を選ぶことで、持続可能なエネルギー利用に貢献できます。企業としても、クリーンエネルギーの導入を進めることが、持続可能なビジネスの実現につながります。
11. 住み続けられるまちづくりを
目標11「住み続けられるまちづくりを」は、すべての人が安全で持続可能な都市やコミュニティに住むことを目指しています。都市部で働くビジネスパーソンにとって、交通、住宅、インフラの問題は生活の質に大きく影響します。
持続可能な都市開発には、公共交通機関の利用促進やエコフレンドリーな建物の普及が欠かせません。日常生活では、交通手段を環境に優しいものに切り替えたり、ゴミの分別を徹底したりすることもこの目標に貢献する行動です。企業でも、オフィスの省エネ化やグリーンインフラの導入を進めることで、持続可能なコミュニティの形成に寄与できます。
16. 平和と公正をすべての人に
最後の目標16「平和と公正をすべての人に」は、平和で包摂的な社会を実現し、すべての人が公正な法の下で生きられる世界を目指しています。具体的には、暴力や虐待、搾取の撲滅、法の支配の強化、汚職や不正の削減などが含まれます。また、すべての人が公平に法的な保護を受けることができ、平和で安定した社会を築くことが求められています。
私たち個人としては、平和や正義を推進するために、日常生活の中で公正な判断をすることや、暴力や差別を許さない意識を持つことが重要です。地域社会においては、平和を促進するための活動に参加したり、紛争解決に向けた対話を支援することが、目標16の達成に貢献します。
企業では、労働環境において公平な雇用の実践や、ハラスメントを防ぐ対策を講じることが求められます。また、透明性の高いガバナンスや、汚職防止のためのコンプライアンス体制を整えることも重要です。特にグローバル企業においては、取引先やサプライチェーンにおける倫理的な行動基準を確立し、世界中で平等で公正なビジネス環境を作ることが、この目標の達成に寄与します。
まとめ
SDGsの社会問題に関連する7つの目標(1,2,3,4,5,7,11,16)は、私たちの日常生活やキャリアに直接的な影響を与えるテーマばかりです。これらの目標は、単にグローバルな視点で捉えるだけでなく、私たち一人ひとりができる具体的な行動を通じて達成できるものでもあります。
職場や生活の中でSDGsに貢献する行動を増やし、持続可能な社会の実現に向けて、一歩ずつ進んでいきませんか?この記事を通じて、SDGsの社会問題に関する目標について理解を深めていただけたでしょうか。次回以降はさらに深掘りし、他の目標についても解説していきますので、ぜひ引き続きご覧ください。
名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。