はじめに
SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに世界が達成すべき17の目標を掲げています。これらは国家や大企業だけの取り組みではなく、私たち一人ひとりが日々の生活や仕事の中で実践できるものでもあります。
この記事では、特にビジネスの現場でSDGsを取り入れ、小さな行動から大きな変化を生む方法を紹介します。身近な取り組みが、長期的には組織全体や社会全体にどのように影響を与えるか、一緒に考えてみましょう。
SDGsをビジネス現場で取り入れる重要性
SDGsがもたらすビジネスの可能性
SDGsに取り組む企業は、社会課題を解決するだけでなく、企業イメージの向上、新たなビジネスチャンスの創出、人材の確保やエンゲージメントの向上といった直接的なメリットも得られます。また、小さな行動でも、長期的には業績改善や持続可能な経営に寄与します。
SDGsと日常業務のつながり
SDGsは遠い存在ではありません。例えば、「働きがい」を重視する目標8、「つくる責任、つかう責任」を強調する目標12などは、ビジネスの現場に直接関係しています。自分の業務にどのように関連付けられるかを意識することが、最初の一歩です。
ビジネス現場で始めるSDGsの具体例
1. 小さな行動で始める省エネルギー対策
具体例:
オフィスで使われるエネルギーを削減する取り組み。不要な照明を消す、エアコンの温度設定を見直す、省エネモードがある機器を活用するなど、簡単な行動から始められます。
関連目標:
目標7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、目標13(気候変動に具体的な対策を)
2. ペーパーレス化の推進
具体例:
業務で使用する紙の量を減らし、デジタルツールを活用する。社内資料をデジタル化したり、会議の資料を電子化することで、コスト削減と環境負荷軽減が実現します。
関連目標:
目標12(つくる責任、つかう責任)、目標15(陸の豊かさも守ろう)
3. フードロス削減プロジェクト
具体例:
社内カフェテリアや飲食部門で廃棄される食品を管理し、余剰食品の寄付やリサイクルを行う。これにより、廃棄コストを削減しつつ、地域社会にも貢献できます。
関連目標:
目標2(飢餓をゼロに)、目標12(つくる責任、つかう責任)
チームでSDGsを実践するための方法
1. SDGsの目標を職場の目標に落とし込む
個人だけでなく、チームや部署全体で共有できるSDGs目標を設定しましょう。例えば、1年間でエネルギー消費を10%削減する、地域のボランティア活動に参加するなど、具体的で測定可能な目標を立てることが効果的です。
2. アイデアを出し合うブレインストーミング
SDGsを意識した取り組みを考えるための会議を定期的に開催。全員が提案しやすい環境を作ることで、意識が共有され、行動に結びつきます。
3. 成果を可視化し、共有する
取り組みの進捗や成果をチーム内で共有することで、モチベーションを高めます。たとえば、エネルギー削減量や廃棄物削減の実績を見える化し、社内掲示板やSNSで発信しましょう。
「自分ゴト化」がカギ
SDGsの取り組みを「自分ゴト」として捉えることは簡単なようで、実は多くの企業や個人にとって難しい課題です。日常生活の中でエコバッグを使う、フードロスを減らすといった個人のアクションは想像しやすいかもしれません。しかし、これを職場での業務や企業の戦略に落とし込むとなると、「他人ゴト」に感じてしまうことが多いのです。
なぜSDGsが後回しにされるのか?
企業では、日々の業績目標や短期的な利益を重視する傾向が強く、SDGsは「余裕があればやること」と見なされがちです。
- 経営層は、企業の成長や収益確保が最優先事項であり、SDGsへの取り組みを後回しにしてしまうことがあります。
- 一般社員も、目の前の業務に追われる中で、SDGsを考える余裕がないと感じることが少なくありません。
このように、SDGsは「やりたいけれど時間もリソースも足りない」という状況に陥りがちです。
「自分ゴト化」への3つのステップ
この課題を解決するためには、SDGsを自分ゴトとして捉えるための仕組み作りが重要です。次の3つのステップを意識してみてください。
1. 多様な関係者とのコミュニケーションを促進する
社内でSDGsに関する情報共有や意見交換の場を作り、各部署の関心やアイデアを引き出しましょう。例えば、月1回の「SDGsラウンドテーブル」や、「成功事例共有会」を開催することで、社員同士の共感と連携が生まれます。
2. 小さなアクションから始める
すべてを一気に変える必要はありません。ペーパーレス化やエネルギー消費削減といった簡単な取り組みから始めましょう。小さな成功体験が積み重なれば、SDGsが業務の一部として自然に組み込まれるようになります。
3. 2030年のありたい姿を明確にする
自社が2030年にどんな状態を目指すのか、具体的なビジョンを全社員と共有しましょう。「持続可能な地域社会に貢献する会社」「環境負荷ゼロの製品を提供する企業」など、未来像を描くことで、社員一人ひとりの行動に意味が生まれます。
ゲーミフィケーションで楽しく学ぶ
SDGsを実際の業務に落とし込むには、学びの場を楽しくする工夫も効果的です。カードゲームやボードゲームを活用したワークショップは、SDGsのテーマを楽しみながら理解し、議論を活性化させるきっかけとなります。
まとめ:今日から始めるSDGsの実践
ビジネス現場でSDGsを実践することは、社会全体の課題解決に貢献するだけでなく、業務の効率化やコスト削減にもつながります。
まずは社員一人ひとりが「自分もできる」と思える仕組みを作ることが重要です。
小さな行動から始め、チームで共有し、成果を見える化することで、持続可能な取り組みが広がっていきます。
あなたの職場でも、まずは身近なところから始めてみませんか?
名古屋大学大学院修了後、外資系電機メーカーでグローバル営業に従事し、アジア・アフリカでの日系企業の進出支援に従事。現在は合同会社エネスフィア代表および株式会社BrightのCSOとして、SDGsビジネスマスターや脱炭素アドバイザーなどの資格を活かし100社以上の中小企業支援に実績。さらに、BSIジャパン認定アソシエイト・コンサルタントおよびB Corp認証取得支援コンサルタントとしても活躍中。